大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和36年(あ)637号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人藤岡政一の上告趣意について。

憲法二二条にいわゆる職業の選択の自由は無制限に認められるものではなく、公共の福祉の要請がある限りその自由は制限されることは、当裁判所大法廷の判例とするところである(昭和二四年新(れ)第七号同二五年六月二一日大法廷判決、刑集四巻六号一〇四九頁参照)。そして、売春を助長する行為を刑罰をもって禁止することは、結局人の尊厳を保ち、性道徳を維持し、社会を健全ならしめるために必要なことであって、公共の福祉に適うことは、言を俟たないところである。それ故所論は採用することができない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例